弁護士が解説!同時死亡のケースにおける保険金の行方

弁護士が解説!同時死亡のケースにおける保険金の行方のイメージ

今回採りあげる法律相談はこちら―――。

この記事のポイント

・夫婦が同時に亡くなり、妻が夫の生命保険の受取人だった場合、保険金は「妻の相続人」が受け取ることになる
・法律上、同時に死亡した人同士の間では相続が発生しないと推定されるため、夫は保険金を受け取る権利を相続しない
・その結果、夫の相続人に保険金は渡らず、妻の相続人が全額を受け取れる

先日、交通事故で子ども夫婦が亡くなりました。即死だったらしくて、全く苦しまずに逝けたそうです。娘たち夫婦に孫はいませんでした。義理の息子が娘を受取人とした生命保険があったのですが、この保険金は私と主人が全額受け取れますか。それとも、息子のご両親にも渡したほうがいいのでしょうか。娘と向こうの両親は養子縁組をしていません。

法律上、受取人の相続人である相談者夫妻が保険金を全額受け取ることができます。

今回は、登場人物が複雑なので、次のように呼ぶことにします。

相談者  :山田さん夫婦<沙也加さんの相続人>
大樹の両親:川口さん夫婦<大樹さんの相続人> 
娘    :沙也加さん
息子   :大樹さん<沙也加さんの相続人>

大樹さんは自分が亡くなったときに、保険金が沙也加さんに入金されるようにしました。
しかし、沙也加さんは大樹さんと同時に亡くなってしまい、保険金を受け取れません。
そうなると、沙也加さんの代わりに、沙也加さんの相続人が保険金を受け取ります。
つまり、沙也加さんの相続人である山田さん夫婦が保険金を受け取ることに争いはありません。問題は、「川口さん夫婦も保険金を受け取ることができるのか」です。

相続によって、財産は亡くなった人から生きている人に受け継がれます。
養子縁組をしていない限り、義理の子どもの財産を義理の親が相続することはありません。
そのため、川口さん夫婦が保険金を受け取るのは、大樹さんが沙也加さんの財産を相続したといえるケースです。この場合には、大樹さんを経由して、沙也加さんの財産が大樹さんの両親である川口さん夫婦に受け継がれます。
もし沙也加さんが亡くなったときに大樹さんが生きていれば大樹さんは沙也加さんの相続人として財産を受け継ぎます。
しかし、交通事故で即死した今回のケースではどちらが先に亡くなったのかわかりません。
この場合、同時に死亡したものと推定され、2人の間で相続は起こらないとされています。
つまり、大樹さんは沙也加さんの相続人にはなれません。

そのため、大樹さんの相続人である川口さん夫婦は保険金受給権を相続せず、相談者である山田さん夫婦は、保険金を全額手にすることができるのです。

参照:最高裁判所事務總局家庭局『家庭裁判月報61巻12号』最高裁判所事務總局家庭局/東京 P.52

この記事に関連するよくあるご質問

相続人の範囲を知りたいです。

法律で定められた相続人(法定相続人)は、誰が相続するか優先順位が決まっています。

まず、亡くなった方の配偶者は常に相続人となります。

配偶者以外の親族は、以下の順位で配偶者とともに相続人になります。

【第1順位】子 (子が亡くなっている場合は孫)
【第2順位】父母 (第1順位がいない場合)
【第3順位】兄弟姉妹 (第1順位も第2順位もいない場合)

下の順位の人は、上の順位の人が1人もいない場合に限り、初めて相続人になることができます。
たとえば、お子さんがいる場合、ご両親やご兄弟は相続人にはなりません。

内縁の妻や、籍を入れていない子どもは相続人になりますか?

法律上の婚姻関係などによって、異なってきます。

①内縁の妻(事実婚のパートナー)の場合

法律上の婚姻届を提出していない内縁関係の配偶者には、残念ながら相続権がありません。 たとえ長年連れ添い、生計をともにしていたとしても、法律上の相続人になることはできません。

財産を遺したい場合は、必ず遺言書を作成し、「遺贈する」というかたちで意思を記しておく必要があります。

②籍を入れていない(婚外子の)お子さんの場合

この場合は、ご両親との関係性によって異なります。

【母親との関係】
母親とは、出産の事実によって法律上の親子関係が明確なため、常に相続人になります。

【父親との関係】
父親がそのお子さんを「認知」しているかどうかが重要です。
「認知届」を役所に提出し、法律上の親子関係が認められていれば、婚姻関係にある夫婦の間に生まれた子とまったく同じ立場の相続人になります。

もし認知がされていない場合は、父親の相続人になることはできません。

法定相続分とは何ですか?

法定相続分とは、遺言書がない場合に、誰がどのくらいの割合で財産を相続するのかを法律で定めた、遺産の取り分の目安です。

法定相続分は、誰が相続人になるかの組み合わせによって、割合が異なります。

具体的には、以下のように定められています。

ただし、必ずしも法定相続分どおりに分ける必要はありません。相続人全員が合意すれば、法定相続分以外の割合で分けることができます。

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この記事の監修弁護士
谷崎 翔
弁護士 谷崎 翔

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